「原価計算研究」 バックナンバー

2002年 Vol.26, No.2 (通算第52冊)

ライフサイクル・コスティング−その展開と特質の研究−

岡野 憲治
Summary
ライフサイクル・コスティングの展開と特質を、文献研究を基礎として、時系列に沿って、そして国別に明らかにする。ライフサイクル・コスティングは、その展開において対象とするコストの範囲を拡大している。この点を論証し、計算システムとしての特質は、未来原価としてのライフサイクル・コストの計算にあることも主張したい。ライフサイクル・コスティングは、他の研究分野との接点をもっている。しかしそれら研究分野とライフサイクル・コスティングとの関係についての研究は、まだ深められているとはいえない。この点が今後の研究課題であり、ライフサイクル・コスティングのより具体的な方法と体系に関する研究もまだ十分ではないことも主張する。
Key Words
ライフサイクル・コスティング、 アメリカ国防総省、 ライフサイクルマネジメント、テロテクノロジ−、 トータル・コスト・アセスメント、 フルコスト会計

ライフサイクル・コスティング概念の拡張−発電技術への適用−

矢澤 信雄
Summary
本研究では、ライフサイクル・コスティングを発電技術に適用し、更にライフサイクル・コスティングの概念を拡張する試みをし、コストの概算を行い、各技術の評価を行った。隠れていた大きなコストの定量的発見をして、各種発電技術に関するより正確な総合的コスト認識に到達した。
Key Words
ライフサイクル・コスティング、発電技術、LCA、原子力発電、太陽光発電、風力発電

JITにおけるトヨタ販売店の役割

小沢 浩
Summary
従来、JITは、工程の工夫や部品メーカーの努力に焦点を当てて説明されてきた。しかし、生産キャパシティは中期的に固定されているため、短期的な需要変動には対応できない。そこで、販売店にまで視野を広げて考察をし、販売店による需要安定化が工程間在庫の低減に貢献していることを指摘した。
Key Words
JIT 在庫 受注残 不確実性 需要変動

病院における部門別原価計算の現状

荒井 耕
Summary
日本病院界において部門別原価計算が現在どの程度実施され、またそうした実施状況を生み出している要因は何かを明らかにした。さらに実施病院におけるその計算目的と、基本的な計算構造や配賦方法などの具体的な実施方法を明確にした。その上で病院界における部門別原価計算の普及・洗練化のための今後の課題を示唆した。
Key Words
病院、部門別原価計算、実施状況、普及阻害要因、実施成功要因、計算目的、計算構造、配賦方法

ABCの活用によるコスト・テーブルの構築—原価企画への提案—

田坂 公
Summary
原価企画活動を実施していくうえで、まず、原価企画へのABCの活用に関する先行研究についてレビューする。次にABCを活用したコスト・テーブルのモデルを提案することによって、原価企画にABCを結びつけることが可能となる方向性を提言する。さらに、原価企画にABCを組み込むことのメリットと課題を考察する。
Key Words
原価企画、ABC、コスト・テーブル、ABC型の設計用コスト・テーブル、ABC型の購入部品用コスト・テーブル、ABC型の現有品比較用コスト・テーブル

ABBにおける予算管理単位 −プロセス・オーナーを中心とする責任会計への移行−

青山 剛
Summary
近年、伝統的な予算に対する不満を解消する手段の1つとして活動基準予算(ABB)が提唱されている。本論文では、ABBを有効に機能させるためには、プロセス・オーナーを予算責任者とし、プロセス・オーナーを中心にプランニング・アンド・コントロールを行うことが必要となることを主張する。
Key Words
伝統的予算、活動基準予算(ABB)、伝統的責任会計、活動基準責任会計、予算管理単位、プロセス・オーナー