「原価計算研究」 バックナンバー
2006年 Vol.30, No.2 (通算第60冊)
マネジメント・コントロールにおけるリスクとリターン
小林啓孝
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管理会計の分野では,学問的にも実務的にも投資に対するリターンに関心があり,リターンと関係があるはずのリスクに対しては明示的に考慮に入れてこなかった。総合商社ではリスクを考慮入れたRAPMを使用している。RAMPの基本的考え方を紹介するとともに,総合商社以外の事業会社にRAMPの枠組みが適用可能かを検討した。一般の事業会社と総合商社とでは,事業に関してリスクの質に違いがあると考えられる場合が多いため,リスクとリターンの両面を考慮に入れたマネジメント・コントロール・システムとしては,別の枠組みが必要だと考えられる。
- Key Words
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①リスク,②リターン,③RAMP,④RAROC,⑤VaR,⑥EC
減価償却の方法が設備投資予算編成に与える影響
高見茂雄
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日本の企業は設備投資額を減価償却費範囲内に抑える傾向にある。ところが,予算シーリングとなる減価償却費額はその方法によって金額が異なり,有効な投資機会を逃す恐れもある。われわれは設備投資予算編成モデルを設定,シミュレーションを行い,定率法と定額法との予算消化率の差異を調べる。そして,有価証券報告書データでシミュレーション結果の整合性を検討する。
- Key Words
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①減価償却の方法 ②減価償却費範囲内基準 ③設備投資予算編成モデル ④予算消化率γ ⑤トービンのq ⑥シミュレーション ⑦有価証券報告書データによる検証
本社費・共通費配賦における内部相互補助の論理
渡邊章好
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近年、意思決定のスピード・アップのために下部組織の独立性は高まりつつある が、その反面、内部相互補助を意識した実務が少なくなりつつある。しかし、近年の 実務の潮流に対して、本研究では、内部相互補助を意識した本社費・共通費配賦に企 業全体の利益を向上させ、資源配分の非効率性も抑える効果があることを明らかにす る。
- Key Words
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①業績管理会計 ②本社費・共通費の配賦 ③インセンティブ ④アドバース・セレクション ⑤スクリーニング
M&Aバリュエーションにおけるリアルオプション価値の意義
大西 淳
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戦略的M&Aの成否には適切なバリュエーションが欠かせない。本論文は、伝統的DCF法とリアル・オプション法をとりあげ、事例を用いて、リアル・オプション法は戦略価値を適切に評価できること、支配権獲得後のシナジー創出のための戦略実施を経営権(オプション)として捉えることでディール成立の可能性が高まること、買収後の戦略を的確に遂行することが可能となることを明らかにした。
- Key Words
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①リアル・オプション、②M&A、③プレミアム、④買収価格、⑤企業価値、⑥バリュエーション(企業価値評価)、⑦DCF、⑧企業戦略
無形の資産を創造するITマネジメントのあり方
−BSCフレームワークに基づく情報資本の構築−
小酒井正和・伊藤和憲
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本稿ではITマネジメントの戦略的構築について、ITマネジメントを担当する組織とBSCフレームワークを活用したITマネジメントとの関係について検討する。情報資本とITマネジメントの関係を明らかにし、3つのアプローチについて述べる。最後に、ITマネジメントを行う組織とそれに適するアプローチについて論じる。
- Key Words
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①バランスト・スコアカード(BSC)②ITマネジメント ③情報資本 ④無形の資産 ⑤イニシアティブ ⑥IT投資評価⑦情報投資 ⑧競争優位の構築
非財務指標の戦略的適合度に関する実証分析
西居 豪
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昨今、財務指標のみならず、顧客満足度、欠陥率、特許件数などといった非財務指標を併用した業績管理システムが多くの関心を集めている。しかしながら、特にわが国においては、非財務指標を利用することが高いパフォーマンスにつながるのかどうかについては定かではない。そこで本研究では、質問票調査のデータを用いて日本企業における非財務指標の利用とパフォーマンスとの関係について検討する。
- Key Words
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①非財務指標 ②戦略的適合度 ③財務的パフォーマンス ④実証分析 ⑤戦略的業績管理システム
組織間におけるコントロール・システムと「信頼」
大浦啓輔
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組織間コントロール問題は,組織間管理会計研究の一つの重要なテーマである。本稿では,既存研究を整理した上で,組織間協働にとって不可欠な概念である信頼について考察する。一見相反すると思われる組織間コントロールが,信頼の構築に対して一定の役割をもつ可能性について言及し,今後取り組むべき課題を述べる。
- Key Words
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①組織間管理会計 ②バイヤー・サプライヤー関係 ③組織間関係のマネジメント ④信頼 ⑤組織間コントロール
「日本原価計算研究学会第2期企業研修制度最終報告」
吉田栄介
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ソフトハウスにおけるバランスト・スコアカードの導入を目的とした10ヶ月間に及ぶアクション・リサーチについてのほうこくである。当初は、個人業績評価の改善のためにその導入が検討された。結果的に、本格導入には至らなかったが、試行期間へと至る過程に有形無形の効果があったと考えている。
- Key Words
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①バランスト・スコアカード ②導入研究 ③チェンジ研究 ④アクション・リサーチ ⑤ソフトハウス ⑥ソストウエア⑦戦略マップ ⑧業績評価