日本原価計算研究学会第25回全国大会       1999年10月2日・山口大学

報告要旨

 

製品開発段階におけるコスト低減の原理−有効な原価企画システムの設計のために−

清水信匡(桃山学院大学)

経済学部第1大講義室 10:40〜11:20

 

 これまでの研究で原価企画の手続きはかなり明らかになった。今後は、いかに有効な原価企画システムを設計したらよいのか、あるいはどのように原価企画を運営するのが良いのか、という問題に研究の重点が移っていくことになるであろう。その場合、原価企画における目標原価達成のメカニズムの説明理論が必要になる。本報告では、そのような説明理論を展開することにする。そして、その説明理論に基づきながら、有効な原価企画システムを設計する場合のポイントを説明する。

 

報告のアウトラインは以下の通りになる予定である。

 

1 はじめに

2 製品開発におけるコスト低減メカニズム

   製品開発段階でコスト低減するとはどのようなことを言うのかを説明する。

 2-1 コスト最適な製品開発とは

 2-2 コスト最適な製品開発ができない理由

 設計代替案収集上の問題

 原価見積上の問題

 組織上の問題

 2-3 コスト低減メカニズム

3 原価企画設計上の3つの軸

   有効な原価企画システムを設計する場合のポイントを説明する。

 3-1 コストの観点から設計代替案を収集・比較させる仕掛け作り

 (=合理的な目標原価設定方法の論理)

 3-2 合理的な原価見積方法の展開

 3-3 分業体制の弊害を除去する仕掛け作り

4 結び

 

[参考文献]

伊藤嘉博「品質コストマネジメント」中央経済社、1999年。

岩淵吉秀「原価企画の機能:情報共有化と知識創造の観点から」『企業会計』、第44巻第8号、1992年、41〜47頁。

岡野 浩「日本的管理会計の可能性−会計における可視性と不可視性」『会計』第143巻2号、1993年、16〜30頁。

加登 豊『原価企画:戦略的コストマネジメント』日本経済新聞社、1993年。

原価企画特別委員会(代表:小林哲夫)『原価企画研究の課題』、森山書店、1996年。

清水信匡「原価企画活動における目標原価情報と知識創造活動の関係」『産業経理』、第51巻第4号、1992年、132〜142頁。

    「集団的知識創造活動としての原価企画における目標原価情報の役割」『企業会計』第44巻第10号、1992年、91〜96頁。

    「『原価企画』における『原価の作り込み』の概念」『会計』、第147巻第4号、1995年、28〜41頁。

    「コンカレント・エンジニアリングによる製品開発における原価低減」『企業会計』第47巻第6号、1995年、38〜44頁。

    「利益管理活動としての原価企画の意味内容」『会計』、第149巻第2号、1996年、75〜87頁。

田中雅康『原価企画の理論と実践』中央経済社、1995年。

谷 武幸「2つのコストテーブルとその機能」『国民経済雑誌』第179巻第2号、1999年、1〜12頁。

牧戸孝郎「技術革新と原価管理」『原価計算』第21冊、1987年、8〜21頁。